春の后里(ホウリー)は、艶やかな青緑の果樹園やキラキラ輝く花畑が、誰の目をも喜ばせる。特に、月眉山一帯に立つと、青緑が延々と続くブドウ園が視界いっぱいに広がる。4月は、ブドウ棚が新緑で溢れ、一枝一枝の芽が小さい蕾をつける。陽の光がこぼれそそぐブドウ棚の下を歩けば、清々しい香りに包まれ、7月の収穫期まで待ちきれない思いに駆られ、すぐにでも、この木々の下でワインを味わいたい気持ちになる。
台湾一の生産高を誇るブラッククイーン
后里のワイナリーは、醸造用ブドウを栽培して50年余りという地区だが、フランスワインの本格的製造はここ5年くらいのことである。毎年7月と12月のブドウの収獲期には、ブドウ棚いっぱいに、黒紫色に輝く果実がたわわに実る。丸々と太った粒は、果汁をたっぷりと含み、人は思わず手を伸ばしてしまう。木からもいだ果物は実に新鮮だ。
過去、台湾で醸造されたワインは甘味が強いのが特徴だった。余ったブドウに砂糖を加えて醸造するのが一般的で、出来上がったワインはねっとりと甘いものだった。そんなワインは少し飲んだだけで酔いやすく、多く飲めば、口の中がべたつく感じがして、食事の供には不向きだった。